スクワットがうまくできない。しゃがんでいくと右の外側のお尻が痛くなるという相談がありましたので書いていきたいと思います。

一般的にスクワットができない、しゃがめないというときに問題とされることは、「足首が硬いから」「体が硬いから」ということではないでしょうか。今回の相談者ご本人も、足首が硬いからスクワットができないのではないかと思われていたようです。

まず、うまくできない動作がある場合、その動作そのものをチェックする必要があります。これはスクワットに限らずすべての運動に言えることです。怪我もなく、骨や関節に異常がない。けれどもしゃがめないということは、動作そのものが不適切なことがほとんどです。

動作ができないのは、筋肉が硬い、強い、弱いと考えるのではなく、まずは「動作を見直す」ことが大事になります。

しゃがむ動作をチェックしてみました。動作の流れはこのようなイメージでした。

①背中、腰を反らせる
②お尻を引いていく
③しゃがみ込んでいく

このような動作の手順になっていました。また、しゃがんでいく過程でお尻は右に移動し、荷重が右脚にかかっているようでした。土台である足裏はつま先が浮いて地面をとらえられず不安定になっていました。
上記のようなしゃがみ方では、当然しゃがみ込むことは難しくなり、全身が緊張して辛いはずです。

そこで、おかしなことが起きます。その方のスクワット動作では、しゃがめる深さは、お尻が膝より上です。いわゆるハーフスクワットの位置です。しかし、膝の高さほどの低めの椅子に座ってもらうと普通に座れます。明らかに、脚の関節はスクワット時より曲がっていることになります。これは前述したように、スクワットを行う時のしゃがみ方に問題があることの証拠になるのではないでしょうか。

そこで、しゃがみ込むときの適切な動作を指導させてもらいました。
適切な動作とは、「動かす手順を適切にする」ということでもあります。適切な手順に導くことが大切になります。

しゃがみ込むときの基本的な流れです。

①リラックスして立つ
②足首から緩め、足裏全体にに体重をのせる
③膝、股関節が自然に曲がり重心が沈んでいく

大まかにはこのような流れになります。まず、「リラックスして立つ」ことから始めます。胸や腰を反らさずに体の前後側面の緊張がリラックスしていることが大事です。動かす前に体が緊張していれば、動作は緊張してしまいます。

スクワット時の問題の一つに、過度に背中を反らせようとする傾向があります。
例えば、高重量のバーベルスクワットでは背骨の配列を維持しようとそのような意識をしますが、一般的にはそのような意識は必要はありません。基本的にスクワット中は胸を張ったり腰を反らさずに体幹を筒状に保つことです。そうすれば体幹はバランスの良い緊張になります。

リラックスした姿勢ができれば、足首を緩めて重心を沈め、体重を足裏全体、左右均等に乗せることを繰り返し行います。うまく重心が沈み、足裏全体に体重が乗れば、次はお尻を後方、下方に動かし沈めていきます。体幹は筒状を維持しながらです。繰り返し行うと、足関節、膝関節、股関節が連動して動き、徐々にスムーズな動きになって重心が自然に沈んでいくことを認識し始めます。

冒頭にあった、右の外側のお尻の痛みは感じなくなりました。これは体が傾くことで、脚の外側に過度な緊張を与えていたからだと考えられます。
しゃがむときは両足裏に均等に体重が乗っていることが認識できれば、体幹は鉛直に動きます。

自然なしゃがみ立ちを行うと、楽な動作を行うことができます。楽にスムーズな動きを繰り返すことで、全身の筋肉は緩んできますし、バランスも調整されます。

今回、しゃがみに関しては動作指導だけでほぼ問題がなくなりました。
そこからは更にミクロな視点で、体の不自然な状態を身体調整で整えていきます。

今回のようなしゃがめない、しゃがみにくい、しゃがみかたがわからないというケースは多いのではないかと思います。スクワットはエクササイズの中でも認知度が高いので、トレーニングメニューに組み込まれていることは多いと思います。しかし、スクワットのやり方は一つではありません。自分の目的に合わせた、自然な体の動作で行うことが大切です。

できない動作がある時は、動きの手順をみなおしていくことが大事になります。


少しでも参考になれば、幸いです。 

しゃがみかた、立ち方についての詳細はこちら⇩の記事をご覧ください。
しゃがむ、立ち上がることについて