今は野球に限らずですが、技術は技術コーチ、トレーニングはトレーナーなど各分野の専門家が指導するようになってきました。

トレーニング指導に関しては、野球にはどういう体力が必要か、チームとしてや個人に関しても目的は様々です。
適切なトレーニング指導が出来るトレーナーが必要とされてきています。

最近は高校生でも筋肉を大きくしてパワーをつけたり、怪我の予防でウエイトトレーニングや体幹トレーニングなどを行うようになってきました。

今はYouTubeやSNSでトレーニングの理論や実技の動画が観れますので、いつでもスマホで情報が入ってくるようになっています。

その中で、この筋トレをすれば球速や走力が上がる、筋トレをすればパフォーマンスがアップするといった情報が出ていることが多くあります。

確かに筋トレをすれば、パフォーマンスアップに繋がるのですが、まず大前提に考えないといけないことは、スポーツはそのスポーツをしなければ上手くならないということです。当たり前ですが、とても大事なことです。

野球がうまくなるのは野球をすることが一番です。
投げる、走る、打つ、守ることなど、スキル練習が一番大切であり、それが直接パフォーマンスに繋がることになります。

☑技術練習の目的は「野球がうまくなること」です。
☑トレーニングの目的は「体力作り、体作り」になります。
違いを明確に分ける必要があります。

※時期やケースによっては、体が大きくなったり、筋肉が肥大することで、パフォーマンスが上がることもあります。

しかし、技術練習をたくさんやっても、筋トレで力をつけても、速い球が投げれない、コントロールが良くならない、打球が遠くへ飛ばない、速く走れないといった問題が起きてきます。

そういったときはいくら練習をしても頭打ちになります。
そして良く言われることは、「筋肉が弱い」や「体幹が弱い」など、筋肉が弱いから鍛えて良くするという考え方です。

筋力が高くて解決するのであれば、筋力が高い人が全てパフォーマンスが高いことになります。
筋力はパフォーマンスを高めるための一つの要素にしかなりません。

それでは何が改善策になるかというと、「体の使い方」です。
要は動作に問題があるということです。

例えば、ピッチャーで投げる際にどうしても体が開いてしまう問題があったとします。
その問題で多いケースは、踏み込んだ足が着地するとき、足の向きが外、またはホームベースに向かって真っすぐ向いてしまっています。

足が外に向くと膝は外へ割れてしまいます。力が溜めれず自然に体が開いてしまうことになります。
こういうケースでは、踏ん張ろうと下半身の強化をしても、投球練習をしても解決にはなりません。

ポイントは、踏み込んだ「足の着き方」になります。
足を内に向けるようにして、膝が内に向いて下肢でブロックできる状態を作る練習が必要になります。

そうなれば上肢が開いていく事はありえません。
なぜなら、そういう体の動きに自然になるからです。
スムーズな動きに導いてあげることが解決策になります。

また、強い打球を打てないケースでは、インパクトの時にボールに大きな力を与えることができていないということになります。

打つことや投げることもそうですが、下半身の力が60%ほど影響されています。

そこから体幹→腕→手首→バットという流れで力が伝達していきます。
インパクトの瞬間までには、すでに90%以上の力が出ているようです。

右打者の場合、構えたところから左脚を上げて右足に体重をのせます。
そこから投手の方へ体重を移動して左足が着地したら、体が回転していきます。
はじめにに下半身(骨盤)が回転していきます。
そして、下半身の回転の影響で上半身が回転され、そこから肩、腕、最後にバットが自然に出てくることで力がボールに伝わるという流れになります。

下半身と上半身が同時に回転したり、先に腕が伸びきるようなスイングではうまく力は伝達されません。
一連の流れをスムーズな動作にしていく事、そして一番力が入る位置でインパクトすることです。
そうすれば個人の持っているパワーがボールに伝わることになり、強い打球が打てるようになります。

このように、技術的なことにに関しては、体の使い方が不適切であればパフォーマンスは高まらないことがあります。

基本的に体の動きや関節の動きはどう動くかは決まっています。
不適切な動きではパフォーマンスは低下してしまいます。
動作はスムーズな動きにすることが大切であり、スムーズな動きは効率よくパワーを生み出すことになります。

野球が上手くなるには野球の練習が必要です。しかし、動きができない、ぎこちない動きに関しては、筋トレではなく「体の使い方」を見直すことが必要になります。

そして、体力作り、トレーニングに関してですが、もちろんパフォーマンスアップに重要なことです。
野球にはどのようなや体力が必要か、それは対象者や個人によっても違いますが、まずは目的が必要になります。
目的を明確にしてからトレーニングを考える必要があります。
野球の体力作りやトレーニングの考え方についてはまた書きたいと思います。


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私も小学~高校まで野球少年でした。
特に小中学では、なぜできないんだ!とよく怒られていたのを覚えています。
指導を受けたことの中には、実は不適切な指導もあったなぁと今はわかりますが、やっている本人はわかりませんでした。

なぜ良くならないのか、どうしたらいいか、自分で考えて解決できるケースは難しいと思います。
そういうときに、適切な指導を受けたかったなぁと思うことがあります。
今の野球少年たちには、適切な指導を受けて野球を楽しんでほしいと思います。


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